−フィリピン−

子供の頃、一番待ち遠しかったテレビ番組は『水曜スペシャル』の川口浩探検隊。とにかく鼻血が出そうなくらい好きだった。探検隊がもっとも多く訪ねた国はフィリピンだろう。首都マニラのあるルソン島はもちろん、ミンダナオ島、パラワン島と探検隊は首狩り族だの猿人だのを探し回っていた。あんなに面白かった番組は、後にも先にもない。

パラワン州都プエルト・プリンセサの観光案内所で裸族に会いたいと言うと、すぐにバタック族の村へのアクセスを教えてくれた。起点となるサン・ラファエルは、小さなよろず屋が2、3軒と宿が1軒しかないようなところだった。とても一人でたどりつけるようなところではないので、英語とバタック語の話せるガイドを宿で手配してもらった。村へは渡渉を繰り返しながらジャングルの奥に向かってさらに4時間ほど歩く。

バタック族は半裸だった。男性は服を着ている人がかなりいるが、女性は上半身裸だ。子だくさんのお母さんは堂々としたもんだが、未婚の少女は突如現われた侵入者に恥ずかしそうに胸を手でおおいながら走り去った。臼と杵で米をつくのは女性の仕事と決まっているが、それ以外に決まった役割はないようだ。男性が子供を背負って料理をしている。豚の餌用に切り倒したバナナの幹を女性がごりごりと削っている。

空き家となっている高床式住居に泊めてもらう。電気がないから日の入りとともに寝てしまうのかと思ったら、みんなけっこう遅くまで起きている。楽しそうな話し声や笑い声を聞いているうちに、村人よりも先に眠ってしまった。

翌日、朝早くから村の若者がこぞってバスケットボールをしているかけ声で目が覚めた。外に出てみると村人が全員服を着ていた。前日に服を着ていたのは、稲刈りをしていた家族と日没後に寒くなった人たちだけだったのに。午後から役人が視察が来るのだという。要するに服を着ることが彼らのフォーマルなのである。

下山の途中、村で最長老のおじいさんに会った。御年60歳の彼もその日は服を着ていた。ただし、着衣は上半身だけで下半身はふんどしだ。村にはもう彼以外にふんどしを締めている男性はいない。最長老以外はみんなパンツだ。バタック村だけではなく、フィリピン全土でも、ふんどし愛好家はもはや相当なじいさんだけになってしまった。バタック村で最後のふんどしじいさんに会えてよかった。来た甲斐があった。

プエルト・プリンセサに戻るとまっすぐに観光案内所に行った。
「バタック村はとてもよかったのだが、あいにくバタック族は半裸であった」
と言ってみたら、予想もしなかった答えが返ってきてたまげた。
「このパラワン島には、まだ真っ裸で洞穴に住んでいる人々がいますよ」

そして、また丁寧にそこまでの行き方を教えてくれた。絶句! なにも地球の裏側のアマゾンまで遠征しなくても、隣国フィリピンに裸族はあっさりいるのだ。フィリピンにはなんせ7107もの島がある。さすが小野田さんが30年もの間、潜んでいた国である。

wochikochi_201010gatugou01.jpg

バタック族の親子

trackback

このブログ記事を参照しているブログ一覧: −フィリピン−

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.realgolf.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/1134