ベストを尽くして戦う

全英オープン最終日最終組。世界ランク1位のタイガー・ウッズではなく、全英初挑戦の17歳の石川遼でもなく、59歳のトム・ワトソンの姿がそこにあった。史上最年長メジャー優勝まで、少しだけ手がかかっていた。

彼のゴルフは、まさに基本中の基本だった。ターンベリーという難しいコースの中で、パーを拾うことの重要性を、世界のゴルファーに教えてくれた。フェアウェイをキープすることの大切さ、もしパーオンしなくても、バンカーやグリーンサイドからアプローチを寄せていく妙技。彼がパーパットを沈めると、スコットランドのギャラリーは大歓声を挙げてワトソンを褒め称えた。

パワーゴルフ全盛期の現在、技と経験で誰よりも素晴らしいゴルフを見せつけた。
そして、誰もが彼の優勝を願ったに違いない。彼もそう思ったに違いない。6度目のクラレット・ジャグを掲げる瞬間は目の前まで来ていた。だが、それはするりとすり抜けた。

最終ホールをボギーとし、通算2アンダーで並んだスチュワート・シンクと4ホールのプレーオフに臨んだ。だが、59歳にして強風の中72ホールを戦い抜いたワトソンには、夕闇が迫り、気温も下がり始めたリンクスで、23歳も年下のシンクに張り合う余力は残されていなかった。

敗北が決定的なワトソンが18番グリーンへ戻ってくると、周りをぐるりと取り囲んだギャラリースタンドの人々が総立ちとなり、温かい拍手と歓声に包まれた。それは、これまでの寒さや疲れも吹き飛ぶような心温まる瞬間だった。

彼のプレーをひとことで言うならば「ベストを尽くした」。ゴルフでは、結果が全てと言われるが、勝者だけが主人公ではないのだ。

Umeron

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梅本伸昌
大学卒業後、商社勤務を経て約6年前に株式会社イオンスポーツに入社。
帯同キャディとしてレギュラーツアーを転戦した経歴を持ち、
現在は商品開発・営業・広報などマルチにこなす。
ゼロフィット開発の中心人物。趣味はもちろんゴルフ。ハンディキャップ7

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