わがゴルフの再生を期して

ゴルフの愛好家であれば知っている人もおられることと思うが、オジー(AUSSIE)理論なるゴルフのスイング手法を習得することにした。理由は、足腰の衰えにより減少した飛距離の回復と打球の方向性の安定化にある。まあ言葉を換えれば、完全に壊れてしまったわがゴルフの再生計画である。
ここ10年ほどは取材で旅に出る以外は自宅に籠って仕事をしているため、体力の低下ははなはだしい。1日自宅にいたある日、万歩計を付けて歩数を測定したことがあるが、なんと700歩に満たなかったことには驚くどころか恐怖さえ感じた。
-このままじゃ、寿命も縮まる
そこで、1年前から近隣のスポーツクラブのメンバーになっている。最初の1か月は熱心に筋トレや有酸素運動などに取り組んだが、出張が続いて10日ほど行けなくなると、億劫になる。まるで昔の蒸気機関車が動き出すまでに時間がかかるように、ペースを取り戻すのに1週間ほどを要する。そんな自分の性格は、本人が一番よく認識しているので、クラブ選定の際には最近流行りの岩盤浴が併設されているところを選んだ。それが功を奏し、岩盤浴の気持ちよさについ誘われて、かろうじて行かなくなることはないのだが、今やジムに顔を出すことはなくなり、もっぱら入浴に直行の毎日なのである。つまり、足腰の衰えは今も着実に進行していることになる。

頭の切り替えの早さでは人後に落ちないと自負する私は、
-まあ、ゴルフをしてればいいんじゃないの
と1人納得し、今年に入ってゴルフの回数を増やすことにした。ところが、ラウンドのたびに感じることは
-こんなに飛ばなかったかね~。だいたい右左にぶれすぎるよな~
そんな私の思いを見透かすように、妻の一言
-変、変~~ん。スイング、みっともな~い
かつて私の華麗なスイングに魅せられて近寄ってきたはずの妻が、今は私の加齢によるスイングの破綻をなじるのである。

-ははは、まあパパも歳だから
冷静を装ってはいたが、心は痛く傷ついた。
その晩から、何か大逆転のシナリオに巡り会わないものかと、インターネットにかじりついた。そしてたどり着いたのがオジー理論なのである。
「アドレスからフィニッシュまで、ずっと左足体重。重心の移動なし」
このキャッチフレーズを見たとき私は
-なんかいけそうな気がする
と思ったのである。

ネットで注文したDVDは3日ほどで届いた。まるでアダルトビデオを内緒で見るような気分でDVDを再生した。AUSSIEというからには当然外人が、できれば白人のきれいなレディーがと、勝手に期待していた私は、いきなり目に飛び込んできた画像に軽いめまいを感じた。そこには、初老の日本人男性が極端なクローズドスタンスでボールを打っている姿が映し出されていたのである。
しかし私は、ここでも切り替えが早かった。
-いやいや、いいんじゃないの。そうですよ、これこれ、これこそ私が求めていた理論なんじゃないの。だいたい、若いもんのスイングなんか真似られるわけがない。うん、私と同世代と思しきこの年配の男こそ、きっと救い主になるに違いない。

内容は、これまでの常識を覆されるようなものもあったが、足腰の弱体化をカバーすると考えれば非常に納得がいくことも多かった。そして、ゴルフに希望が持てることが何よりもうれしい。健康のためにゴルフをやっていますなどというようになったら、ゴルフはおしまいだ。うまくなりたい、飛ばしたい、勝ちたいと、いつまでも欲を持ち続けたい。

廣川亜太郎(ひろかわ あたろう)
医療ジャーナリスト 1951年生まれ 横浜在住
全米生活25年、その間にゴルフ場支配人を経験、30代後半に北カルフォニア公認ハンデキャップ6
現在はハンディキャップ14。「スコアは、ゴルフの神の思い召し」が信条。

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